第一次生産者の心を学ぶツアー
懐石割烹の伊勢すえよし(東京・西麻布)のオーナーシェフ・田中佑樹が企画した「第一次生産者の心を学ぶボランティア&スタディツアー」が4月29日(金)から5月1日(日)の三日間で行われた。内容はただのグルメツアーではなく、生産者の作業を手伝い、その食材を使ってプロの料理人が料理を作り、一つのテーブルを囲んで交流するというもの。
ツアーには伊勢すえよしの取引先であるこだわりの農家や生産者、狩猟家が生産側として、消費者側からは同店の常連客や食への関心の高い希望者10名が参加した。実際に行ったのは今が最盛期のかぶせ茶を生産する三重県。かぶせ茶の「かぶせ」作業を体験し、お茶の初市や茶工房の他、100年以上の歴史を持つ味噌醤油蔵、伊勢蔵を見学。
二日目には伊賀米を生産する農家、阿山農産で農作業と田植えを体験し、昼食には阿山農産のお米を使った鯛飯が振る舞われた。ツアー参加者と生産者にプロの料理人が美味しく調理した鯛飯と、田んぼの爽やかな景色の両方を楽しんでもらうという、消費者、料理人、生産者の3者による交流が行われた。
夕食でもこの3者が揃い、消費者は生産物の生まれる流れを学び、生産者は生産したその後や、普段聞けない消費者の生の声が聞ける良い機会となった。
NHKのアノ番組をやってみたい!
ツアー発起人である田中佑樹氏は、今回のツアー企画のヒントをNHKの「キッチンが走る」という番組から得ていた。プロの料理人の手によって自分の生産した食材が美味しく生まれ変わり、生産者がそれを美味しそうに食べるという姿を見て、やってみたいと思ったという。
「キッチンが走る」とは、キッチンを備えたキッチンワゴンに俳優の杉浦太陽とプロの料理人が乗り込み、たどり着いた地域で得た四季折々の様々な食材で料理をし、現地の生産者たちに振る舞うというNHKの番組。ただ料理を振る舞うだけでなく、個性豊かな料理人の腕が冴える斬新なメニューが登場し、その食材に誇りを持つ生産者たちの思いや人情、美しい景色などが楽しめる。
実現までには苦労もあったが、消費者と生産者を出会わせ、化学反応を起こしたいという田中佑樹氏の思いは実り、今回のツアーは大成功だったようだ。
継続への思い
来月の19日、さっそく今回のツアー企画の報告会が実施される。報告会では今回の成功に関する話はもちろん、今後どうやって継続していくかの議論もなされる予定だ。今回のツアーはそのための第一歩。
消費者は生産物の安全性や流通の流れ、生産者は出荷後の評価やブランド作りのための意見を求めている。両者を繋ぐことが出来るのは他でもない「料理人」である、と田中佑樹氏は言う。
3者が繋がれば、お互いを補い合い、現代人の食生活はもっと良い物になるはずだ。伊勢すえよしは今後も生産者と消費者の架け橋として活動していく予定だという。
(画像はプレスリリースより)

地方の生産者と東京の消費者をつなぐ!料理人と巡る生産地ツアーを開催しました!
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