おいしさを我慢しない新たな減塩手法『エレキソルト』
キリンホールディングス株式会社(以下、キリン)と明治大学総合数理学部先端メディアサイエンス学科の宮下芳明研究室が共同で研究・開発を進めている『エレキソルト』という減塩手法が、11月16日(水)から18日(金)にかけて幕張メッセで開催された「INTER BEE IGNITION × DCEXPO」において、Innovative Technologies2022を受賞した。
『エレキソルト』は、人体に影響しない、ごく微弱な電流を用いて疑似的に食品の味の感じ方を変化させる「電気味覚」という技術。この技術を用いたデバイスを利用して食品を食べることで、塩味を約1.5倍増強させることができるという。
「Innovative Technologies」は、2012年に経済産業省事業としてスタートしたプロジェクトで、独創性、先進性、市場創出の可能性の観点から、先端技術やコンテンツを選出および表彰し、国内外に発信するもの。
今回、『エレキソルト』は、おいしさを我慢しない新たな減塩手法として高く評価された。
電気味覚で塩味を増強!我慢しないで減塩を
塩分のとり過ぎは、高血圧や腎臓病など、生活習慣病の発症や重症化を招く原因とされており、健康に関する大きな社会課題だ。
日本人の1日当たりの食塩摂取量は、成人男性で10.9g、成人女性で9.3gと、WHO(世界保健機関)が掲げる食塩摂取基準と比較して非常に多いことが分かっている。
生活習慣病の重症化を予防するには1日6.0g未満の食塩摂取量が望ましいと考えられているが、いわゆる“減塩食”は味が薄く物足りないと感じる人も多く、日常的に継続するのは困難を極める。
キリンと宮下研究室は、2019年から、人体に影響しないごく微弱な電気を用いて、味の感じ方を変化させる「電気味覚」に関する研究を行ってきた。
同研究のこれまでの成果によると、『エレキソルト』搭載したデバイスを用いて食事をすることで、塩味が1.5倍程度増強されることが実証されている。つまり、食塩を30%低減した食品を摂取する際、『エレキソルト』搭載した食器を用いることで通常の食事と同等の塩味を提供できることが示唆されたのだ。
また、減塩味噌汁を用いた実証実験においては、塩味の増強効果だけでなく、コクやうま味など、全体的においしさが向上したと感じたという声が寄せられたという。
キリンは、この『エレキソルト』を搭載した箸、スプーン、お椀などの商品を2023年に販売することを目指している。
(画像はプレスリリースより)
キリンホールディングス株式会社 プレスリリース
https://www.kirinholdings.com/