オリーブオイルで健康に?
米国神経学会(American Academy of Neurology)の学会誌「ニューロロジー(Neurology)」に掲載された「地中海式ダイエット」に関する研究結果が話題を呼んでいる。
そもそも地中海ダイエットは、1960年始めのギリシアのクレタ島や南イタリアの伝統的な食事法のことで、穀物、野菜、果物、豆類などの植物性食品と、この地方特産のオリーブオイルをベースに、チーズなどの乳製品や、新鮮な魚介類などで構成される食事のこと。
この研究は、平均年齢は64歳の黒人系と白人系の米国人1万7478人の食事に関する情報に基づいたもの。
「地中海式ダイエット」に近い食事習慣を持つ健康な人は、そうした食事習慣がない人たちに比べ、思考や記憶に関する問題が生じる可能性が19%低いことが分かった。
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生活習慣病リスクと認知症
この食事方法の研究は、第二次世界大戦後、1950年代のアメリカで動脈硬化による心疾患が死因のトップになり、欧米諸国の食生活と心疾患の関係性を調査するうちに地中海沿岸諸国では心疾患による死亡率が低いことが分かったことから注目され始めた。
地中海ダイエットは、ダイエットというよりもファストフード中心の食生活など偏った食生活を改善し、地中海地方特有の食事に変えることで、ヘルシーな食生活を目指そうという意味合いが強い。
また、アルツハイマー型認知症になりやすい危険因子として高血圧、高脂血症、糖尿病、肥満など生活習慣病とのかかわりが指摘されており、食事や運動が認知症の症状を緩和させ、予防につながるという研究も進んでいる。
食事法が晩年の精神機能を左右する鍵になってくるというこの研究、今後の進展に注目が集まることは間違いないだろう。

米国神経学会(American Academy of Neurology)学会誌「ニューロロジー(Neurology)」Adherence to a Mediterranean diet and risk of incident cognitive impairment
http://www.neurology.org/content/